セクハラとは
セクハラとは、一般的に「相手の意思に反する性的な言動で、この言動によって相手を不快・不安な状態に追い込んだり、仕事を遂行する上で一定の不利益を与えたり、就業環境を悪化させること」を指すとされています。
一方、職場におけるセクハラについて定めている男女雇用機会均等法では「職場において行われる性的な言動に対する雇用労働者の対応により、労働者がその労働条件につき、不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業規則が害されること」と規定しています。
普段の行動がセクハラになりうる
では、具体的には、どのようなことなのでしょうか。
「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指します。
業務を遂行する場所であれば、必ずしも事務所内に限定されるわけではなく、出張先や取引先も職場に含まれます。
また、業務を遂行していれば、必ずしも勤務時間内である必要もありません。
例えば、勤務時間外の「飲み会」であったとしても、その趣旨や参加者などによっては、勤務の延長として職場とみなされます。
「性的な言動」とは、性的な発言と行動を指します。
セクハラについては、1998年に当時の労働省が定めた、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」(平成10年労働省告示第20号)は次のような言動をセクハラになりうる言動としてあげています。
関連ページ : 「セクハラの被害者にならない為のポイント」
「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」
セクハラは、その内容により、「対価型」と「環境型」とに分けることができます。
対価型セクハラとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動で、その労働者が解雇・降格・減給等の不利益を被る形態のセクハラをいいます。
具体的には、上司が部下に対し性的関係を求めたがこれに応じなかった為に、解雇や部署移動をすることなどがあります。
環境型セクハラとは、職場において行なわれる労働者の意に反する性的な言動により、
就業環境が不快なものになり、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、その労働者が就業する上で看過できない程度に支障をきたす場合を言います。
身体に触れるなどの身体接触型、性的なうわさを流すなどの発言型、パソコンの画面やロッカーなどに女性のヌード写真を張るなどの視覚型などがあります。
何がセクハラに該当するか
セクハラに該当するかどうかは「相手の意に反するもの」であるか、「環境を悪化させるもの」であるかが、重要な判断要素となります。
この「相手の意に反する行動」とは、相手方の望まない不快な言動ですので、仮に本人がはっきりと反対せずに応じるような態度を示していたとしても、その言動が相手方が望まない言動である場合には、セクハラとなることに注意する必要があります。
継続的な人間関係が前提となる職場では、人間関係を円滑にしようとする気持ちから、望んでいない不快な言動がなされたとしても、明確に反対(拒否)の意思表示ができないことも少なくないのが現状です。
したがって、一見相手方が応じているように見えても、セクハラに該当することがあるとの認識を持つことが重要です。
なお、具体的に「意に反する」か「環境を悪化させる」かを判断する時には、そのような言動をされた側の受け止め方が重要ですが、受け止め方には個人差もあります。
セクハラとなれば加害者側は、被害者から損害賠償請求を受けたり、会社から懲戒処分を受けたりする場合もあります。
刑事告訴を受ける可能性もあることや、会社にとっても、セクハラ防止の為の措置義務の対象となるかどうかという問題を生じる事から、一定の客観性をもって判断することが必要です。
そのため、セクハラに該当するかは、「平均的な労働者の感じ方」によって判断されるべきであるとされています。
関連ページ : 「セクハラを起こした個人や企業が問われる法的責任」
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